殺人鬼と宇宙人とうさぎ。

運命のボタン(リチャード・マシスン著)


・運命のボタン

ある日ノーマとアーサー夫妻のもとに届いた質素な箱。送り主の紳士は、その箱のボタンを押すと世界のどこかの見知らぬ誰かが死に、報酬としてボタンを押した人には5万ドルが支払われるのだと説明した。その日からノーマは箱の事しか考えられなくなり……

同名の映画の原作ですが、大まかな設定以外は別物。
突き放したような淡々とした筆致は人物の心を読ませない。ノーマとアーサーのパーソナリティを掴ませない。そしてそのことこそが、オチに力を与えているのです。

・針

憎きテレーゼを亡きものにするために、ミリセントはブードゥーの呪いを実践することにした。彼女はテレーゼの切った爪と毛髪を集めて人形に仕込んだ。そしてとうとう、人形の心臓に針を刺した――

大好物のどんでん返し系の話。
ミリセントは自分とテレーゼの本当の関係に気づいてたのかな……?
呪いは精神にではなく肉体に直接及ぶのだと言う話。

・チャンネル・ゼロ

1954年1月、一人の少年の調書が取られた。レコーダーに向かって少年は昨晩の出来事を語り始める。不安に震え、言葉をつまらせながら……

レオが踏みつけた『油みたいにぬるぬるした、温かいグリスみたいなもの』が血だとしたら、両親は少なくとも一時間前には死んでいたという事実と相反する。
でもレオはそれを血だとは明言してないから、もしかしたら何か別の液体なのかもしれない…!?
なんて、隅々まで想像を掻き立てられるホラー小説でした。

読者が調書の録音されたテープを再生して聞いているという設定上、地の文なしで進む話なのですが、それでも自然と恐ろしい情景が頭に浮かんでくるから不思議。
これが発表された1951年はテレビがまだそれほど一般に普及していなかったことを念頭に読むと、よりうすら寒い感覚を味わえるかと思います。

戸口に立つ少女

ある日、彼女が夕食をつくっていると、ドアにかすかなノックの音がした。表には白い絹のドレス姿の少女が一人。少女はにっこりと微笑むと、尋ねた。「おばちゃまの家の子と遊んでいいですか?」それが“死”のはじまりだった――

ゆっくりと、でも確実に忍び寄る“嫌な予感”がいい。
それがとうとう形を成した瞬間はカタルシスを覚えるほど。
ところで、この話の邦題は『戸口に立つ少女』ですが原題は『戸口を叩く少女(Little Girl Knocking on My Door)』です。
かたやなにかが起こりそうな予感をさせ、かたやすでに起こっている…日本人とアメリカ人の恐怖を感じるポイントの微妙なずれを実感しませんか?

子犬

シングルマザーのサラがこの世の何より溺愛しているもの、それは息子のデイヴィー。デイヴィーは泣き虫で、甘えん坊で、繊細ないとおしい男の子だった。そんなある晩のこと、サラのアパートに白い子犬が迷い込んできて……

この本で一番胸糞悪い話。
後味の悪いオチだからってのももちろんあるけど、単純にデイヴィーがぐずぐず言ってばかりのやかましいガキで、サラが所有欲でどろどろの粘着女だからというのが大きい。
そんなほのめかしはどこにもないのに、近親相姦の気持ち悪さを感じる。

サラが子犬を飼うのをかたくなに拒み続けたのには、経済力以外の理由があると思う。たとえばデイヴィーを他の誰かに取られるのが気に食わないから、とか。
あるいはサラにとってはデイヴィーこそが自分のかわいい愛玩動物だから、他のペットなんて目障りなだけだったのかもしれない(そりゃ一度人間を支配することを覚えちゃったら、もう他の動物なんて興味持てないよね)。
親子が最終的にどうなったのか不明なまま終わるだけに、子犬の正体についてさまざまな解釈ができるのが面白い。

0

ランキングに参加しています

にほんブログ村 うさぎブログ ネザーランドドワーフへ にほんブログ村 小動物ブログ パンダマウスへ にほんブログ村 鳥ブログ 鳥 多種飼いへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Post Navigation