殺人鬼と宇宙人とうさぎ。

ゴースト・スナイパー(2013/ジェフリー・ディーヴァー著)


アメリカ政府を批判していた活動家モレノがバハマで殺害された。2000メートルの距離からの狙撃。まさに神業、“百万ドルの一弾”による暗殺と言えた。直後、科学捜査の天才リンカーン・ライムのもとを地方検事補ローレルが訪れた。モレノ暗殺はアメリカの諜報機関の仕業だという。しかも「テロリスト」とされて消されたモレノは無実だったのだ。ローレルは、この事件を法廷で裁くべく、ライムとアメリア・サックスを特別捜査チームに引き入れる。スナイパーを割り出し、諜報機関の罪を暴け―ライムと仲間たちは動き出す。だが現場は遠く、証拠が収集できない。ライムはバハマへの遠征を決意する。一方、謀略の隠蔽のため暗殺者が次々に証人を抹殺してゆき、ニューヨークで動くアメリアに、そしてバハマのライムにも魔の手が…


キャラクターの印象が二転三転するこまごまとした変化を楽しむのが主で、事件に関する見方が180度変わってビックリ!とか、あの人が犯人だったなんて!などのガツンとくる部分が少なかった。
料理好きで冷徹な犯人も、せっかく魅力的だったのに最後の最後でフツーになってしまったと言うか、今一歩突き放しが足りないと思う。

そして、それは他のキャラに対しても言えるかもしれない。
シリーズ最初の頃は、それこそメインキャラクターですら安全圏ではありえないという緊張感があったし、実際信じられない人が信じられない形で退場してしまうこともあったけど、最近のメインキャラは作者の寵愛を一身に受けていることがうかがえて、どんな危機的状況のさなかにあっても「でも死なないんでしょう?」とちょっと冷めた目で見てしまう…。
やっぱり愛着が湧いてしまうものなんでしょうね。

前作のバーニングワイヤーが凄まじかっただけに、少しパワーに欠けるかなと感じましたが、それは私が政治絡みのネタがあまり得意じゃないからかも。外国の政治ってなんだかしっくりこなくて。
それにライムって政府と戦うキャラではないと思うんですよね。

検事補のローレルも今一つ掴み所がなく感情移入できず、そんな彼女がライム一行の出番を食ってしまっていることにただやきもきさせられただけ。
すべてを仕組んだ真犯人に関しても、意外であること、全く見抜けなかったことは認めるけど、かといってどうでもいい部分をつついてきたなあと感じるのは否めない。あの人が犯人であろうとなかろうとたいした感慨も湧かないというか。

レギュラーキャラは相変わらず魅力的です!
ライムにくどくど叱られながらも末っ子ポジションとしての手腕と魅力をいかんなく発揮しているプラスキーは、どんどんメインキャラとしておいしい役回りを掴みつつありますね。
トムはまたしても漢を見せたし、そんなトムに対してライムが『生まれたときからずっと知っているような気がする友人』とまで思ってた事実には涙が出そうだった。

それに、もちろんサックスも。
並外れた知識人たちの中で、これまでのサックスの役割は歩くこと、探すこと、撃つことが主でした。
チェスで言うならポーンの位置であったように思いますが、今回はスナイパーライフルが取り上げられているだけあって銃の得意なサックスも知識を授ける側に立ち位置を変えています。
これが特に嬉しかったなー。

サックスといえば……ライムの体が徐々にではあるが機能を取り戻し始めている反面、サックスの関節炎が悪化の一途をたどっているのは少なからず嫌な予感がすると共に、この二人はどこまでも一心同体なんだなと感じさせられました(さんざん不穏な空気を漂わせておいてからのあのラストは華麗だった!)。

サックスのカマロに続いて、今回はライムの車椅子が犠牲になっちゃったしね。
ここにも二人の絆というか縁みたいなものを感じられて、気の毒ではあるけど思わずニヤリ。

どんでん返しだけに着眼すると物足りないけど、騙しのテクニックはさすがの一級品でした。

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